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変化球APおける新球練習と変化球練習の効率検討

目次

はじめに

本研究は、BBLにおける変化球の育成最適化を目的に、新球練習と変化球練習における練習の効率を可視化するものである。

αでは異端であった変化球特化育成は、βに移行し鍛錬本の追加やバランス調整が加わり現代においては一つの手法と言える存在まで一般化した。

特に小APの存在は偉大であり、得意分野をより得意にさせるだけでなく、得意分野をもう一つ増やす、非成長期に補正を行うといった育成の考え方もできるようになった。

これにより、変化球メインの育成においてはスタミナ70以上を持たせた先発型や、コントロールを90以上持たせた変コン型の育成が可能になったといえる。

これが「変化球は苦行」と呼ばれた時代とは大きく異なる点である。

一方で、変化球の伸びのみに注目される機会は少なくなった。

変化球のステータスに何を「加えるか」「減らすか」というバランス検討が多くなり、変化球の育成は変化特化型の前提条件的な意味になったからである。

これは、育成の幅が広がったという事は変化球を育成する手法も増えたということでもある。

本研究はこの点に着目し、変化球練習の最適なタイミングを検討することが目的である。

 

前提・比較条件

まず、評価を行ううえで前提条件を統一する。

前提条件
・高卒投手(18歳)変化APで開始
・筋肉養成ギプスを使用
・集中は考慮しない

比較対象は以下の通り
・変化小APの有無
・鍛錬の種類は二つ(積極or精密)

なお、各ポイントはねここさんの練習シミュレータv4を参考にしている。

ポイント効率の計算

獲得ポイント

各練習におけるポイントの増減は以下の通りである。

変化獲得ポイント
鍛錬 小AP 停滞期1 停滞期2 停滞期3 通常期1 通常期2 通常期3 通常期4 成長期1 成長期2 成長期3 成長期4
積極 あり 5.8 8.3 8.8 11.8 13.0 14.8 17.8 20.2 22.0 22.7 26.2
積極 なし 3.5 5.8 6.4 9.5 10.5 12.4 15.3 17.8 19.6 20.2 23.8
精密 あり 7.7 9.8 10.6 14.3 15.5 17.2 20.2 22.7 24.4 25.6 28.7
精密 なし 5.0 7.3 8.0 11.8 13.0 14.8 17.8 20.2 22.0 23.3 26.2

 

新球獲得ポイント
鍛錬 小AP 停滞期1 停滞期2 停滞期3 通常期1 通常期2 通常期3 通常期4 成長期1 成長期2 成長期3 成長期4
積極 あり 5.0 10.0 11.1 12.3 13.7 14.9 16.6 17.8 19.0 20.3 21.4
積極 なし 3.0 7.7 8.9 10.0 11.1 12.3 14.3 15.4 16.6 17.8 19.0
精密 あり 5.0 6.3 7.7 9.0 10.0 11.0 13.0 14.3 15.5 16.5 17.8
精密 なし 3.0 4.0 5.0 6.3 7.7 9.0 10.5 11.8 13.0 14.3 15.5

 

非AP大練習獲得ポイント
鍛錬 小AP 停滞期1 停滞期2 停滞期3 通常期1 通常期2 通常期3 通常期4 成長期1 成長期2 成長期3 成長期4
積極 なし 4.0 10.0 11.1 13.7 14.9 16.6 19.0 21.4 22.6 24.4 26.3
精密 なし 3.0 8.0 9.0 11.0 12.0 13.5 15.5 17.5 18.5 20.0 21.5

 

練習マイナスポイント
鍛錬 小AP 停滞期1 停滞期2 停滞期3 通常期1 通常期2 通常期3 通常期4 成長期1 成長期2 成長期3 成長期4
積極 なし 0.0 -2.5 -2.5 -3.0 -3.0 -3.0 -3.5 -3.5 -3.5 -4.5 -4.5
精密 なし 0.0 -1.0 -1.0 -1.5 -1.5 -1.5 -2.0 -2.0 -2.0 -3.0 -3.0

 

ポイント効率(対非APスタミナ練習)

各練習におけるポイント効率(対非APスタミナ練習)は以下の通りである。

((各獲得ポイント-マイナスポイント) / スタミナ獲得ポイント)×100[%]

で計算した。

 

変化ポイント効率(対非APスタミナ練習 )
鍛錬 小AP 停滞期1 停滞期2 停滞期3 通常期1 通常期2 通常期3 通常期4 成長期1 成長期2 成長期3 成長期4
積極 あり 193.3 103.8 97.8 107.3 108.3 109.6 114.8 115.4 118.9 113.5 121.9
積極 なし 116.7 72.5 71.1 86.4 87.5 91.9 98.7 101.7 105.9 101.0 110.7
精密 あり 256.7 122.5 117.8 130.0 129.2 127.4 130.3 129.7 131.9 128.0 133.5
精密 なし 166.7 91.3 88.9 107.3 108.3 109.6 114.8 115.4 118.9 116.5 121.9

 

新球ポイント効率(対非APスタミナ練習 )
鍛錬 小AP 停滞期1 停滞期2 停滞期3 通常期1 通常期2 通常期3 通常期4 成長期1 成長期2 成長期3 成長期4
積極 あり 166.7 93.8 95.6 84.5 89.2 88.1 84.5 81.7 83.8 79.0 78.6
積極 なし 100.0 65.0 71.1 63.6 67.5 68.9 69.7 68.0 70.8 66.5 67.4
精密 あり 166.7 66.3 74.4 68.2 70.8 70.4 71.0 70.3 73.0 67.5 68.8
精密 なし 100.0 37.5 44.4 43.6 51.7 55.6 54.8 56.0 59.5 56.5 58.1

 

※参考資料

非APコントロール効率(対非APスタミナ練習 )
鍛錬 小AP 停滞期1 停滞期2 停滞期3 通常期1 通常期2 通常期3 通常期4 成長期1 成長期2 成長期3 成長期4
積極 なし 133.3 93.8 95.6 97.3 99.2 100.7 100.0 102.3 103.2 99.5 101.4
精密 なし 100.0 87.5 88.9 86.4 87.5 88.9 87.1 88.6 89.2 85.0 86.0

 

ポイント効率(対非APコントロール練習)

各練習におけるポイント効率(対非APコントロール練習)は以下の通りである。

(各ポイント効率(対非APスタミナ練習 )) / コントロールポイント効率(対非APスタミナ練習 ))×100[%]

で計算した。

 

変化ポイント効率(対非APコントロール効率 )
鍛錬 小AP 停滞期1 停滞期2 停滞期3 通常期1 通常期2 通常期3 通常期4 成長期1 成長期2 成長期3 成長期4
積極 あり 145.0 110.7 102.3 110.3 109.2 108.8 114.8 112.8 115.2 114.1 120.2
積極 なし 87.5 77.3 74.4 88.8 88.2 91.2 98.7 99.4 102.6 101.5 109.2
精密 あり 256.7 140.0 132.5 150.5 147.6 143.3 149.6 146.5 147.9 150.6 155.1
精密 なし 166.7 104.3 100.0 124.2 123.8 123.3 131.9 130.3 133.3 137.1 141.6

 

新球ポイント効率(対非APコントロール効率 )
鍛錬 小AP 停滞期1 停滞期2 停滞期3 通常期1 通常期2 通常期3 通常期4 成長期1 成長期2 成長期3 成長期4
積極 あり 125.0 100.0 100.0 86.9 89.9 87.5 84.5 79.9 81.2 79.4 77.5
積極 なし 75.0 69.3 74.4 65.4 68.1 68.4 69.7 66.5 68.6 66.8 66.5
精密 あり 166.7 75.7 83.8 78.9 81.0 79.2 81.5 79.4 81.8 79.4 80.0
精密 なし 100.0 42.9 50.0 50.5 59.0 62.5 63.0 63.2 66.7 66.5 67.6

 

ポイント効率のグラフ及び考察

各効率についてグラフにし考察した。

なお、各グラフの成長パターンはグラフ作成の都合上番号で示す。

成長型番号 1 2 3 4 5 6
成長パターン 停滞期1 停滞期2 停滞期3 通常期1 通常期2 通常期3
成長型番号 7 8 9 10 11
成長パターン 通常期4 成長期1 成長期2 成長期3 成長期4

変化球練習の効率

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本結果からわかることは

・どの育成スタイルでも傾向が極端に変わることは無い
・同じ通常期でも効率が大きく変わる

である。

特に顕著なのが「同じ成長期でも1〜4で効率は大きく変わる」である。

例えば、精密小APであれば成長期1と4で10%以上の差が出ることがわかったが、これはこれまでの「変化は停滞期に育成する」という考え方を覆すものである。

育成の最高効率を求める場合、変化球単体の効率を求め育成するのではなく他のステータスの効率のバランスを考えながら必要があり、付録にあるような他の能力の効率と比較して育成するべきだろう。

また、本グラフに含まれない懸念するべき事項として「ケガ率」があげられる。

このケガ率というのは曲者で、確率通りに怪我をするとは限らないこと、怪我した際の失うポイントを考慮しなければならない。

ケガ率というのを加味した成長型毎の育成効率を求めることは今後の課題である。

 

新球練習の効率

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本結果からわかることは

・育成手法によって新球練習効率は変わる

・鍛錬本無しの場合、良い成長型のほうが効率が良い

ということである。

まず、精密鍛錬自体は本結果において影響がなく、新球練習かぎって言えば事実上鍛錬本無しと同義であることを述べたい。

したがって、鍛錬本無しの育成をする場合精密小APなしを参照することになるが、他の育成手法とことなり明らかに停滞期より成長期のほうが効率の良いという結果になった。

また、マイナスされるポイントが球質であることにも注目するべきである。

球質というのは、コントロールPよりも貴重である。これは、球質大練習のマイナスがコントロール練習と比べ速度と変化の2種類に作用しているからである。

したがって総合的な育成を考えたときに、新球と非AP大練習を単純比較するのではなく、球質がどの程度下がるのか、いつ練習でカバーするのか、といった点まで配慮する必要がある。

成長型による効率の解説はhino氏の【BBL NEWS】育成コラム7 新球、いつやる? | BASEBALL LIFEを参照してください。

 

最後に

本企画を開催した里崎氏に感謝します。他の企画はBBL Advent Calendar 2021 - Adventarからどうぞ。

また、検討にあたり様々な点でご迷惑をおかけしたhino氏にこの場を借りて謝罪させていただきます。

各値はねここさんの練習シミュレータv4を元に計算したものです。いつも価値あるデータをありがとうございます。

hinoさんが求めた結果とは若干のズレがあることから第三者による再検査が必要です。

必要な方にはシートも提供させていただきます。ご協力をお願いします。

計算結果を利用した場合の育成については責任を持てません。数字を使う場合、本人の責任でお願いいたします。

改めて、素晴らしい企画をありがとうございました。

 

付録

積極練習の効率

非APコントロール練習の積極練習と非積極練練習を対非APスタミナ練習で比較した。

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変化球S達成に必要なポイント

変化P、新球Pの必要ポイントは各パターンにおいて以下の通りである。

前提条件は以下の通り
・高卒投手(18歳)変化APで開始
・初期変化球ステータスは全て40で統一

初期1球種(変化量40)
球種 変化量組み合わせ 追加球種 追加変化量(各回数) 必要新球P 必要変化P
0~20 21~40 41~50
2球種 50-50 1 20 20 20 100 3200
3球種 40-30-30 2 40 20 0 250 2600
4球種 40-20-20-10 3 60 0 0 450 2400

 

初期2球種(変化量20-20)
球種 変化量組み合わせ 追加球種 追加変化量(各回数) 必要新球P 必要変化P
0~20 21~40 41~50
2球種 50-50 0 0 40 20 0 3400
3球種 40-30-30 1 20 40 0 150 2800
4球種 25-25-25-25 2 40 20 0 350 2600

 

初期3球種(変化量15-15-10)
球種 変化量組み合わせ 追加球種 追加変化量(各回数) 必要新球P 必要変化P
0~20 21~40 41~50
3球種 40-30-30 0 20 40 0 0 2800
4球種 25-25-25-25 1 40 20 0 200 2600